書評日記 第115冊
女の子は余裕 ひかわきょうこ
講談社

 この書評日記、落ち込んでいる時に限って、メールが来ます。しかも、女性から。不思議です。なんででしょうか。母性本能をくすぐるわけ?でも、なんだか俺、女運が悪いようで、妙な方ばかりにひっかかる、つーか、妙な方にばかり見つけられます。なんつーか、そういう運命なんでしょうか。むう。

 で、早速、本日の一冊はひかわきょうこの「女の子は余裕」です。
 ま、約束ですから、ちょっと、虚実入り交えて、美化してみましょうか。

 U君が、東京に来るのは、ちょっと先のことだった。その集いでは、皆なにかを感じ、何かを期待していた。そのことが、「現実」になるとは、誰も思わなかっただろう。そう、彼以外は・・・。
 Nさんは、ちょっと傷心ぎみだったのかもしれない。数々の別れの会の中で、ひとつひとつ、彼女の「今」との繋がりが切れていく。そんな「今」以前の自分を眺めるのはちょっと哀しい。感傷的になりつつも、また、ひとつの会合の出席する。ただ、違っていたのは、それは、別れではなく、ひとつの出会いの会合だったことだ。尋ねてみたことがある。新しい出会いにうんざりした、という、ちょっと哀しいメールが返ってきた。あまりにも、別れが多すぎて、すぐには、そう、それが現実のものになるとは思わなかったのかもしれない。
 7人の会合は、渋谷の片隅で行われた。土曜の夜にしては、人がまばらであった。店に入る。7人いたが、ほんとうに其処にいたのは2人だった。テーブルの片隅、一番奥にN君は座った。で、その隣にNさんだった。あとは・・・ま、どーでもいいのよ。N君、満足だったでしょ。皆様の采配に感謝しなさい。
 ちょっと、はにかみがちにスタートした会合は、酒が進み、「心」がちょっと酔ってくると、それは、少しずつ楽しみに満ちてきたのであった。webでは、あんなに軽快なU君であったが、本当はちょっとはにかみ屋だった。でも、少しずつ酔う度に、酒が進みひと口飲む度に顔が火照る。いや、本当に酔いで火照っていたのだろうか。半分は、その隣のひとのためなのかもしれない。
 彼は彼女にお酒をつぐ。それをきっかけに、彼の口調はなめらかになる。彼女の目は、どこをさまよっていたのか。いや、最初から、そうだったのかもしれない。それはちょっと解らない。当人だけが知っている秘密でしょう。
 程よく時間が過ぎる。予感は続くものだが、現実はひとつの区切りを求める。席を立ち、7人はその場を去る。なんとなく、去りがたく思うのは、2人の想いの伝染か。
 JRの駅構内に入る。土曜の夜。人々はそれぞれが、それぞれの家路に着く。別々に現実へと戻っていく。いつもの土曜日の雑踏の中に2人だけが立ち止まっている。電車を待つ列の中、たたずむ。電車が構内に入ってくる。止まる。そして、扉が開く。ふと、歩み始める彼女の手を、彼が捉える。彼の頬は火照り、彼女の顔が紅くなる。
 扉が閉まる。一つの現実が始まる。

 つーわけで、恥ずかしいU君とNさんの出会いは、こんな感じでした。
 あとは、現実をご覧ください。そっちの方が、面白いかもしれない。

 んでもって、「女の子は余裕」は彼のリクエストです。
 この少女漫画には、2本入っていて、「女の子は余裕」と「男の子は余裕」という話があります。一言で云ってしまえば、もっと「余裕」をもって物事を見ようよ、という話です。あんまりね、根を詰めてもさ、視野が狭くなるだけだし、もうちょっと、ね。という話。

 さて、「男の子は余裕」の方ですが、その美声の先輩は、後輩の彼女に囁くわけですよ。まめであります。全然振り返ってくれないのに。気付いてくれない。でも、そういう「余裕」は必要でしょう、うん。
 俺の場合、「言葉」を使います。いや、なんというか、一週間で、100通というメール交換をしたこともあります。文章だけはね、得意だから、ま、そーいうことです。
 ちなみに、「お話メール」なる、こっ恥ずかしいこともやっています。女性限定ですが・・・。欲しいかたは、ご連絡下さい。その辺、まだ「余裕」がありますんで。

update: 1996/09/09
copyleft by marenijr