書評日記 第658冊
ウィルスバスターの冒険
スティーブ・チャン、ジェニー・チャン
ダイヤモンド社
ISBN4478330921
ウィルスバスターが海外では「PC-cillin」ということ。そして、トレンドマイクロ社が台湾の会社であることを初めて知った。なので、スティーブ・チャンは「張明正」が正しく、夫婦で会社を創っていったところが一太郎のジャストシステムに似ている。ちなみに「マカフィー」を創ったマカフィー氏は、その会社にはいない、というか設立には寄与していない。

現実世界では新型インフルエンザ、仮想世界ではウィルスと、ワクチンに事欠かない世の中なのだが、予防や防衛にお金をかけること、対ウィルスソフトを入れることによる弊害を考えたとき、「入れない」という決断をしたのは2年程前である。所謂、怪しいホームページや怪しいファイルを開かなくなったからでもある。んで、万が一掛かったらどうなるのか? という問いに対しては、2005年の春にウィルスバスターのおかげで再インストールになってしまったことを鑑みて、リセットをするほうが私の場合は早い、ということになった。以後、メモリとコンピュータのパフォーマンス、ストレスは激減している。

そうそう、不思議なことに、windowsのカーネルSDKで他のAPIは無料でダウンロードできるのだが、ファイル関係だけ有料になっている。当然、これは身元確認のためもあるのだろうが、ちょっと不思議な気がする。要は、HDDへの書き込みを行うWRITEのフックをしてパターン検知をすればいい。または、「AI的に」カーネル関係への書き込みをブロックすればよい。このあたり、イタチごっこというか、お金を掛けるためにお金を掛けるという不思議/変な状況になっている。まぁ、作っているトレンドマイクロなどなどには悪意はないのだから、それはそれでいいのだけど、コンピュータ世界にウィルスが出て来なければ、対策ウィルスソフトもいらない、という必要悪的な匂いも感じる。

派生して「何故に会社に勤めるのか?」という大上段的なものも考えてみよう。お金を得るために会社に勤める、就職する、というのが普通だ。勤め人じゃなくても「働く」ことはイコール「お金」を得るということになっている。そのお金は、何かを得ることに対する等価的な対価に使える(という幻想も含む)ということで、何がしかの意味で働く場を皆は求める。同時に、会社という組織が、株式上場が創業者にとってお金を得る手段になりつつあり、短期での株式売買が当たり前の株式制度になってしまって、ひたすら皆様はお金がお金を産むという世界に邁進しつつある。
しかし、手元にあるお金がファミリーレストランで食事をしたり、子供にお土産を買うこと以外に、何ができるのか?と問えば、実は何もできない。「働く」というものが、雇用関係でしか成り立たなかったり、商品を売り買いするという商売でしかないものであると、それは悲しいものかもしれない。

ん〜と、別に金銭や株式、会社に悲観しているわけではなくて、もっと別なところに本当の人生の価値があるということを話したい訳で、今年は年賀状を120枚出しました(去年は10枚弱だったかな)。仕事関係なり、コミュニティなり、何気に適当にたくさんの枚数を出してみました。所謂、5,000円で得たものは、結構面白いものだったということです。それは、稼ぎとか働くとか雇用関係とか会社とかじゃなくて(まあ、それはそれで必要なんだけど)、高校の頃に夢想していたものに至るものではないかなぁ、と。そう、折しもNHK大河ドラマが坂本龍馬ですから!
update: 2010/01/10
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