書評日記 第21冊
オクス博士の幻想 ジュール・ヴェルヌ
創元SF文庫
いちおう、この書評日記はあとで検索することを考えてインデックスをつけてある。かつ、整理に便利なようにアンカーの部分と(ソースを見ると<IMG>タグの前にくるようにしてある)GIFファイルの名前は同じにしてある。で、大抵は本のタイトルをローマ字で書き下した形になってる。
今回は、ジュール=ヴェルヌ著「オクス博士の幻想」ということで、邦訳だからインデックスは原書にそろえようかな、と思ったわけだ。で、元のタイトル(フランス語)は「Le docteur OX」となっているのに気づいた。で、なるほど、ってわけ。
ジュール=ヴェルヌは、<ジュナイブル>作家の筆頭だと思う。ま、いろいろ作家もいるけど、『荒唐無稽な』という形容詞を冠すれば彼だろう。で、どのへんがちゃらんぽらんなのかと言えば、「八十日間世界一周」のあわただしさ、「動く人工島」のにぎやかさ、「月世界へ行く」のトンでもなさ。なんだかよくわからんけど、ともかく楽しい物語(教訓とかもないし、なんたらの教えなんてのもない。無害というものはそれだけで毒なのに。)を与えてくれる。少年少女世界名作集なんかにヴェルヌが入っているのは、よく考えてみれば不思議なことなのかもしれない。
いったい、この話はなにがいいたいの?(小学生の読書感想文ってのは、なんか偉そうに大人の書いた本を批評する。この辺がいいとか、こーいうことがわかったとか。でもなぁ、そんな短い人生の中でそーいう感想がほんとうにでてくるものなのだろうか・・・なーんてこと当時を考えていた。)
今考えても不思議な話であることには違いない。いったい読者は誰を対象にしていたんだろう。子どもなんだろうか。それとも、私(等)のような暇人なんだろうか。「小公子」とか「小公女」とか「秘密の花園」とか(これらすべては、バーネットの作品。前作2作が同じ作家であることの驚きと、「秘密の花園」というタイトルがなんかエッチっぽい(内容はエッチなわけがない・・・でしょ)ってことでギャグに使える。)のような「いいこぶりっ子」の話とは違って、親が自分の子どもに読ませたい(私は、(子どもがいれば)読ませたいと思うが)と思うかどうか・・・。
またしても、なんか批評らしからぬ書評日記になってしまった。いや、うん、あらためて本を手にとってみたものの、いったい何を書いていいのやらよくわからなくなってしまって・・・また一つ不思議な文章が増えてしまった。
そう、一番最初の「なるほど」ってのは、「オクス博士の幻想」ってのは、村人がなぜか陽気になってしまうというお話なのだ。で、なんで?、かというと、博士が村外れで酸素をつくっていたんだよ、って結末なんだけど、すでにタイトルにOX博士(酸素博士)って書いてある。
で、「あぁ、なるほど、ジュナイブルらしいな」と思ったわけ。
update: 1996/06/18
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