書評日記 第73冊
電脳筒井線 筒井康隆編
朝日新聞社

 ばうわうさん、本日の一冊、筒井康隆編「電脳筒井線」(朝日新聞社)を貴方に送ります。
 本当は、「ばうわう糞壷の図」とか「倫理に触れるばうわうの図」とかをやりたかったのですが、最後に一言だけ、貴方に言っておきたいことがあるし、今までの感謝を込めて、本日の書評日記を送ります。

 さて、俺がばうわうさんの「とほほ日記」を知ったのは、あの日記リンクスです。理由はどうあれ、日記リンクスのトップを飾り、その前後のコメントでちょっとした皮肉を飾る姿は、俺にとってなかなかの勇姿でありました。以前にも書きましたが、貴方の言葉「初心者に対しておもしろそうなリンクを張っておく。」という点に共感を覚え、俺もリンク集をまじめに作るようになりました。
 日記リンクスでのごたごたの中で、激励のメールを出し、即返事が返ってきたことに関しては、きちんとこういうことも出来る人であることを、俺は知りました。
 あいにく、インターネット若輩者の俺にとって(まだ、2か月しかたっていませんので)それ以前の事情はよくわかりませんし、知りたくもありません。だた、俺が見たばうわう像に惹かれて、「日記猿人」にプログラマとして参加させてもらった次第です。日記リンクスのような、悲劇を2度と起こしてほしく無かったからです。

 このようなコンピュータが構築するネットワークの世界で、管理者というものは、「絶対神」のような権限をもつことができます。草の根BBSでも同じです。気に入らない人を排除してしまうことは、現実世界よりもずっと簡単にできます。ネットワークの世界は、相手の顔が見えないので、時々、人を人と思わなくなるときがあります。ネチケットでは「貴方のメールの出す相手は、ひとであることを知りましょう。」と書いてあります。現実世界で、初対面の人をいきなり罵倒したり、殺したりすることはありません。それと同じです。ネットワークの世界が、現実の世界の写しであるためには、モニターの向こうにいるのは、すべて「ひと」であることを改めて確認する必要があります。
 もし、現実世界で、神というものがいるならば、われわれ人間には一切干渉はしないでしょう。コンピュータの管理者が、ネットワークの神としての権限を有するならば、ネットワークを使う人々に一切の干渉を与えてはいけません。管理者は、ネットワークの物理法則であるべきです。少なくとも、プログラマである俺はそう思います。

 俺が、最後までこの事件が「ゲーム」かもしれないというのも、先の返事、そして、インターネット初心者への配慮の言葉、そして、ASAHIネットへの筒井康隆へのリンクが、そうさせるのです。筒井康隆を好む人なら、きっと解ってもらえるという希望があります。筒井康隆が、出版業界から削除されてしまった苦しみ、断筆せざるを得なかった理由、そして痛烈なGAG。それを、知っていると思うからです。
 ここに掲げる「電脳筒井線」は、朝日新聞で連載されていた「朝のガスパール」を毎日BBSで批評&感想を述べあった記録です。楽しいはずの会話が、だんだんと泥沼になっていく点。毎日、BBSにかじりつく躁状態という点。そして、核爆弾というタイポグラフィ。最後に、筒井康隆はずたずたになって、2度とこのような企画はやらないという点。すべて、日記リンクスであったであろう事柄、そして、1か月の内の「日記猿人」であった事柄と全く同じです。これは、何故なのでしょうか。なぜ、歴史が繰り返されてしまうのでしょうか。

 さて、ばうわうさんは、この日記を読む義務はありません。俺は、貴方に「読んでください」とメールを出していません。だから、この日記の内容が、貴方に伝わるとは限りません。貴方が読まないからといって、俺が怒る理由は、ひとつもありません。
 なぜなら、人には好みがあるからです。すべてのものを「平等」に見ることはできない。すべてのものが相容れるものでない限り、そこには意見の対立があるはずです。だから、絶対的な「平等」はないはずです。少なくとも、安易に「平等」という言葉を口にしてはいけない。そう、俺は思います。

 長くなりました。これ以上は、単なる堂々巡りになりそうなので、やめます。先日、俺がメールを送った方は、この日記を読んでいるとは限りません。後ほど、お礼&お詫びのメールとここのURLを送ります。御迷惑をおかけしました。

 最後に、ばうわうさん、貴方は、俺の計略にひっかかってしまいました。残念ながら、俺は日記猿人の再登録はしません。悪いと思うならば、28番をもとに戻すことです。当然、1行コメントも戻さなくてはなりません。戻せませんね。戻せるわけがありません。そういう計算のもとの行動なのです。
 俺は、「聞新込突」(ルビがふれませんね。「つっこみしんぶん」と読みます)を作る予定です。宮武外骨を御存じの方は解るでしょうが、「野口茂平」というインチキ薬屋が執拗に攻められます。ばうわうさん、貴方を、「茂平」にして差し上げます。
 どうやら、この事件。徹底的に追求する必要あり、と感じました。そう遠くはない先に起こるであろう、インターネットの情報規制問題に備えるための前準備として、その時に皆さんが「自粛」という態度をとらないようにするために、ばうわうさん、貴方の御協力を頂きます。貴方は見なくてかまいません。でも、たくさんの人が見るでしょう。この事件を知らない人も見るでしょう。
 でも、こんなことで、情報規制なり自粛なりを少しでも防げるならば、いいじゃありませんか。ばうわうさん、貴方には「人柱」になってもらいます。俺も「人柱」になります。痛烈なGAGです。ゲームです。貴方ならきっと解ってくれると思います。

 さて、〆の言葉はどうしましょうか。当然これですね。
 諸君諸嬢、今後もよろしゅう。

update: 1996/08/14
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