書評日記 第175冊
複雑系 M=ミッチェル=ワールドロップ
新潮社

 これは公開日記だ。だから、他の人が読むわけだし、あなただけに発信するのは「反則」なような気がするけど……まあ、いいでしょう。たまには、こういう日があってもいいかもしれない。

 俺の人生は非常に複雑です。でも、人生が複雑なわりには俺という人物はシンプルに出来ています。

 秋になった頃からずーっと不思議でたまりませんでした。
 何故か、俺のHPには女性からのメールが多いのです。

 確かに俺が男性だからなのかもしれません。でも、俺の人生のポイントポイントには必ず何らかの女性が関与していたことを覚えています。
 古来より「女性は男性を創りかえる」と言われてきました。ひょっとしたら、俺はそれを実践しているだけなのかもしれません。

 そう、女性からのメールが多いといって、毎日来るわけではないし、そもそもこの書評日記には感想メール自体が皆無なのです。
 でもね、俺が心底落ち込んでいる時に、何故かそれを支えるようにメールが来るのは何故なのでしょうか。
 俺がどん底に落ち込まない内になんとか立ち直れるのは、この運の強さから来ているのかもしれません。

 そう、あなたはよく知らないでしょうが、俺「稀Jr」は、日記界では結構むちゃくちゃをやっている方です。なんか散々相手を罵倒したりしています。大学時代の唯一の友人を失い、その後は、あたかも狂ったような日常が訪れています。

 多分、本当に狂っていたのかもしれません。完全に本能に支配されて、宇宙の法則通りに自らの道を歩んできたような気がします。
 流れに任せてといえば、聞こえがいいですが、その流れは決して清流ではなく濁流であり、常に渦を巻いていました。

 学生時代の頃からそうなのですが、俺が関与する集団は必ず波乱が起きています。
 それは、単なる俺の己惚れなのかもしれません。
 でもね、崩壊寸前になるのは確からしいのですが……、崩壊はしません。俺が抜けると、なんらかの秩序を持って落ち着いていくのです。

 河合隼雄の「心の声を聴く」にありました。
 社会の縁を歩く人は、辛い思いをする、のだそうです。俺は其れなのかもしれません。
 そして、今、この本を読み「カオスの縁」という概念を再認識しました。

 実は、この本、昨日の「利己的な遺伝子」と同一の部分があります。「ゲーム理論」の部分がそうです。
 
 俺は、人が英知を持って生きるのに、それほど知識は必要ないと思っています。丸暗記だとか固定化された知識だとか、そういう比較を基準とした知識は無駄だとさえ思っています。
 なんらかの根底を掴めば、自ずから表面に出てくるものは理解できるはずです。
 それは、あたかもカオスの数式は見事なぐらい単純な数式であったり、ゲーム理論の中で打ち勝つには「やられたらやりかえす」という単純な法則が最高の利得を得たり、ユング心理学では人間の心理は根底で繋がっていると考えたり、人が人を見るのに結局のところ「人間性」を基準にしたり……、そして、俺自身が願うのは他人の幸せであったり、と全ては何か非常にシンプルなものに繋がっているのではないでしょうか。

 そう、俺は全ての学問に興味があります。確かに理系学生として育ってきたからこそ、この「複雑系」が非常によく理解できるのかもしれません。また、経済学の基礎の部分にも興味があるし、心理学を独学で学びつつあるし、そして文章をこうやって模索し続けています。

 自分で云うのも難ですが、人はこうやって豊かになっていくのではないでしょうか。

 山田詠美が対談集で云っていましたが、日本の男性社会は世界的に相当「だめ」な部類に入ると思います。
 既成概念に囚われない女性の存在が、これからの社会には必要だと思うし、現にそういう女性が現われつつあります。
 俺は、あなたを、そういう存在として見ています。多分、間違いはないと思います。

 明日、あなたと会えば何かが変わるかもしれません。
 いや、少なくとも俺は変化するでしょう。
 あなたはどういう人生を生きてきたのでしょうか。
 それだけを、あなたに尋ねたいと思っています。

update: 1996/12/26
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