書評日記 第7冊
ディファレンス・エンジン ウィリアム・ギブスン、ブルース・スターリング
角川文庫
サイバーパンクの大御所、ウィリアム=ギブスンとブルース=スターリングの共著であり、かつ、訳者は今は亡き黒丸尚である。
内容の方は・・・というと、とてつもなく(でもないかもしれないけど)駄作に近いような気がする。ま、裏にも書いてあるけど、「記念碑的」って部分だけで十分一読の価値(だけ?)はあるかもしらんけど。
「スチームパンク」って言葉が今残っているかどうかわからない(SF雑誌が軒並み廃刊になってしまった現状としては、ほんとーに死語扱いなのだろうな)けど、19世紀半ばの産業革命中のロンドンを舞台にして、蒸気コンピュータがしゅしゅしゅとしている雰囲気は、文字どおりスチームなのである。
余談だけど、蒸気コンピュータが出てくるのに、大野安之(当時は、漢字だった。いまは、おおのやすゆき。)著「That's イズミコ」ってな漫画がある。あと、19世紀頃を舞台にしたSFってのには、「夢幻紳士」ってのもある。
ま、そんなこんなで、ストーリィは忘れてしまったけど、サイバーパンク(ひょっとしたら、こっちの方も死語かもしれない)特有の「なんかよーわからんけど、既存のSF技術が説明なしに出てくる」スタイルは、んー、なかなか、SFどっぷり・・・という感じであります。史郎正宗の「攻殻機動隊」なんてのは、説明ごっちゃりなんだけど(でも、概念的には既知であった方がより楽しめる)、ま、どっちにしろ、SFという世界の中で読者も、多分著者も、十分に楽しめる広さを持った作品(群)であるには違いない。
吾妻ひでおの不条理SFってのもマニアックなネタがいろいろ出てくるらしいのだが(あじまさんの漫画は読むのだけど、SFねたが云々されるような作品を読んだことがないので)、あわせて読むと一層楽しめる・・・か、わけがわかんなくなっていいかもしれない。
本の書評ってよりは、SF雑談みたい(しかも、相当偏ってるし)になってしまったけど、ま、いいわいね。
update: 1996/06/04
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